深夜特急 オンザロードが面白い
斎藤工くんがすごくいい。まるで、彼の物語を聞いているようだ。
僕は、完全に彼の朗読の、彼が主人公の、ロードムービーの中に引き込まれてしまう。
毎日23時30〜のオンエアを必ずしもリアルタイムで聞けるとは限らないが、
ラジコのタイムフリー機能で、土曜日なんかにまとめて聞くことができる。
なんだろう、この薄暗い感じ、眩しい感覚、怪しげな感触は。
僕自身が多少の海外での旅の経験があるから共鳴しているのか?というと、
そもそも、この小説、沢木耕太郎が産経新聞に発表したのは、僕が小学生の頃の話で、
その時代に、この本がベストセラーになるくらい人々を魅了したというのは
旅の経験などではなく、明らかに人間の何かに共鳴させる何かが、
沢木耕太郎の文章には染み渡っているわけで、
それをあえて遠ざけていた僕が、今更おじさんの歳になってこれを
斎藤工くんの声で聞くってのは、なんだか不思議な感覚なのだ。
もし、これが僕が20代だったら、まちがいなく、旅に出ていただろう。
後先を考えずに。
後先を考えずに
それが許された、本当のゆるい時代
相対的な尺度が世間に設定されていることの、安定感の中でこそ
自由な電子がとびまわれるという事を、多くの人は理解していない。
本当の自由はこれだ!とばかりに、若者たちに
君たちの自由だ、好きにせよ、などという大人のなんと無責任なことか
若者を、宇宙空間にポンと放り出すような無責任を、大人も当の若者たちも
本当の自由なのだから、それこそが正解、正しい、ナイスなんだ、と
決めかかかっている。
答えなんてないんだよ。
わかる?
深夜特急 オンザロードが、答えのない世界を疾走する
暗闇の中を自由に移動する感覚を、どの瞬間から見出すかは、あなたの自由だ。